
小窩裂溝う蝕とは
小窩裂溝とは、歯の表面にある小さなくぼみや細い溝のことをいいます。
歯には、好発部位といい、汚れがたまりやすく、歯ブラシが届きにくいために虫歯になりやすい場所があります。
小窩裂溝は、虫歯の好発部位の一つで小窩裂溝にできた虫歯を「小窩裂溝う蝕」といいます。
小窩裂溝う蝕の特徴とは
1. 見た目でわかりにくい ― 表面は小さな虫歯に見えても内部で大きく進行
小窩裂溝う蝕の大きな特徴は、「外側から見えにくいこと」です。
虫歯と聞くと、「歯が黒くなる」「穴が開く」など目で見て分かる変化を想像する方が多いかもしれません。
しかし小窩裂溝う蝕では、歯の表面に変化が現れないまま内部で静かに虫歯が進行していることが多いです。
これは、虫歯菌が歯の溝(裂溝)やくぼみ(小窩)の奥に入り込み、狭くて深い溝に沿って内部へ進行するためです。
表面のエナメル質がわずかに着色する程度でも、その下で大きく虫歯が進んでいるというケースが多いです。
2. 歯の溝が複雑な形をしているために虫歯になりやすい
小窩裂溝は、細く入り組んだ「Y字」や「V字」、「ピンホール状」など、非常に複雑な形をしています。
そのため、歯ブラシの毛先が届かず、溝の奥に入り込んだプラークを完全に除去できない、また、唾液には酸を中和し歯を修復する働き(再石灰化)がありますが、狭い裂溝の内部までは届きにづらいため、虫歯が進行しやすくなります。
3. 痛みが出るまで気づきにくい
小窩裂溝う蝕は、特に見た目から虫歯が判別しづらいため、痛みが出るまで、ご自身ではきづきません。
すでに虫歯が象牙質や神経にまで進行して、痛みや違和感が出て、初めて歯医者に来院し虫歯が見つかるというケースも多いです。
4. 歯科医師でも診断と発見が難しい ― 診断に経験、技術が必要
小窩裂溝う蝕は、見た目や症状から判別しにくい上に、診断の頼りになるレントゲン写真でも、写りづらい事が多いです。
歯の表面を触った時の感触や細かい見た目の差異など、診断により経験や技術が必要になります。