銀歯とセラミックの違いとは？

いわゆる銀歯とは、正式には「金銀パラジウム合金」と呼ばれる保険適用の金属材料です（正確には、他の金属素材も導入されつつありますが、今回は割愛します）。
主に、虫歯治療後のつめ物（インレー）やさし歯（クラウン）として使用されます。

名前の通り、金・銀・パラジウムを主成分とし、そこに銅・亜鉛などの金属が混ぜられた、丈夫な合金です。
 

このように、複数の金属を組み合わせることで、強度・加工性・コストバランスを取っています。

保険が適用されるため費用が安い
国が定めた保険の範囲で治療ができるため、治療費を抑えることができます。

噛む力に強く、丈夫
お口の中は毎日、噛む力でかなりの負担がかかります。金銀パラジウム合金は硬くて丈夫なので、毎日の食事にもしっかり耐えられます。割れたり欠けたりしにくいので、奥歯など噛む力が強くかかる部分の治療によく使われます。

加工しやすいため、つめ物（インレー）、さし歯（クラウン）、ブリッジなど幅広い治療に使用可能
金属としてたたいても壊れにくく、よく伸びて広がる性質（＝延性・展性）があるため、程よい硬さと柔軟性のバランスがあります。

見た目が目立つ
銀色の金属なので、笑ったときや話すときに目立ちやすく、見た目を気にされる方には不向きです。

金属アレルギーの可能性
パラジウムは、皮膚炎や口腔内の不快感などの金属アレルギーを引き起こすことがあるとされています。とくにアレルギー体質の方は注意が必要です。

金属アレルギーのはなし
https://kp-dental.com/metal_allergy

経年劣化・黒ずみ
長年使っていると、金属の成分が溶け出して、歯ぐきが黒ずむ（メタルタトゥー）こともあります。

熱伝導率が高く、冷たい物でしみやすい
「熱伝導率」とは、ある物質がどれくらい熱を伝えやすいかを示す数値です。
熱伝導率が高い　＝　熱が早く、たくさん伝わる
熱伝導率が低い　＝　熱がゆっくり、少しずつしか伝わらない
金銀パラジウム合金は、比較的、熱伝導率が高い金属で、冷たいアイスが口の中に入ると、銀歯はすぐにその温度に冷えます。
そして、その温度変化が銀歯のすぐ下にある歯の神経にダイレクトに伝わり「キーン」としみる主な原因となります。
特に、治療したばかりで神経が敏感になっている時期は、よりしみやすいです。

実は虫歯になりやすい（二次カリエス）
銀歯は、歯にセメントでくっつけるのですが、このセメントが時間とともに劣化したり、銀歯自体が少し変形したりすることがあります。
すると、歯と銀歯の間にわずかな隙間ができてしまいます。
この隙間に食べかすや虫歯菌が入り込んで、知らないうちに銀歯の下で虫歯が再発してしまうことがよくあります。
これを「二次カリエス」と呼び、実は銀歯の大きなデメリットの一つです。

インレー治療後の二次う蝕
https://kp-dental.com/cavity1

ガルバニー電流で起こる症状
口の中に種類の違う金属（例えば銀歯と別の金属の詰め物など）があると、まるで電池のように微弱な電流をガルバニー電流といい、ピリッと感じたり、肩こりや頭痛など、体の不調の原因の一つになると指摘されています

実は、金銀パラジウム合金は、世界的に見ると歯科治療であまり使われていません。特にヨーロッパの一部の国では、使用を控えるように勧告が出されている地域もあります。