歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯を家に例えると、
虫歯=屋根が壊れる→その後、柱や部屋が崩れる
歯周病=家の建っている地面そのものが、たんぼのようになってしまう
とするとイメージしやすいかもしれません。
歯周病の恐ろしいところは、自覚症状が少ないため、気づかないうちに大きく進行してしまうことが多いところです。
「歯肉が腫れて痛い」
「歯が揺れた」
などの自覚症状が感じられた場合、重症化している事がほとんどで、その時点で治療を始めても完治させる事は難しいです。
また、その状態で放置すると、周りの歯の歯肉や骨にまで悪影響が出てしまうため、進行を広げないための治療、もしくは抜歯が必要になります。
こちらでは、歯周病が原因で残念ながら抜歯に至ってしまったケースをご紹介します。
Case.1
歯が揺れて痛む
「一番奥の歯が揺れて痛む」という訴えで来院された患者さんのケースです。
歯肉に腫れなどはみられませんが、ピンセットで歯を揺らすとかなりグラグラしています。
歯肉の溝(歯周ポケット)も、かなり深くなっています。
レントゲン写真で状況を確認します。
赤い線が歯周病で骨が失われたラインです。
歯の周囲全体の骨が大きく失われているのがわかります。
つまり、歯をささえる周囲の骨がほとんどなく、歯肉の中に埋まっているだけ、といった状況です。
これでは、噛むたびに痛くても仕方ありませんし、また、治療で骨が回復するのも見込めません。
それどこか、手前の歯にも歯周病が進行してしまうかもしれません。
残念ながら、抜歯が必要な旨をご説明し、行う事になりました。
周囲の骨が失われてグラグラの歯ですから、抜歯はあっという間に終わりました。
さて、進行した歯周病を残すのか、抜歯をするのかはいつも我々を悩ませる問題です。
痛みがなければ、今回のようにギリギリまで様子を見るという選択を取る先生や希望をされる患者さんもいらっしゃいます。
しかし、抜歯した部分に人工の歯を植えるインプラント治療などを希望された際、周囲の骨が大きく失われた状態ですと、治療が困難、もしくは不可能になってしまう事もあります。
回復不能な状況の場合、早期に抜歯をした方が良い選択肢の場合もある事をご理解いただければと思います。
こちらのブログをここまで読んでいただいた、歯の治療に関心の高いあなたのご来院、お待ちしています。
今後ともよろしくお願いします。